東京都
2018.11.04
蛇山
東京都大田区
六郷神社の裏、図書館の筋前に六郷用水の入りの橋があって、ちょっとした小山があり、蛇山といった。ヤマッカガシ、青大将、マムシがいて、登ると穴から首を出すのが面白くてよく駆け足で上り下りした。
マムシが肺病の薬になるといって、捕ってくれないかと頼んだおばあさんがいた。それで、六郷神社の竹の先を割ってハサミを作って、首を出すマムシを捕まえた。一匹十銭くれ、端のうちは二十銭くれたものだ……
東京都の竜蛇伝承一覧
大田区
蛇山
東京都大田区:六郷神社の裏の小山を蛇山といって、蛇がたくさんいた。マムシが薬になると買ってくれる人がおり、一匹十銭で捕らえたりもした。
蛇の祟り
東京都大田区:蛇を殺したら、その人の子どもがぐったりと、ちょうど殺された蛇のようになってしまったという。だから蛇は殺すものじゃないと年寄りにいわれたものだ。
稲荷の蛇の祟り
大正の半ばころ、お稲荷さんを移す際に下にい多くの蛇を捨て、その祟りで悪いことが重なった家があった。稲荷のある家の大きな蛇を殺し、それで家が傾いたという話もある。
蔵の蛇の祟り
東京都大田区:蛇は殺すなといった。蔵の蛇が米を食べて仕方がないので捨てたところ、家が傾いた、死に絶えたなどという話がいくつもあった。
蛇と米俵
東京都大田区:家の主のような蛇は、米を食べ始めるとそれだけを食べ、行儀がよい。一俵に手をつけたらそれだけしか食べない。
蛇の祟りの土地
東京都大田区:大森へ来て住んだ人の家で次々に人が死んだ。そこは米倉の蛇を焼き殺したところで、その祟りだろうと噂になった。
蛇を稲荷に祀った話
東京都大田区:六郷の八幡で木から落ちた蛇に毒気を吹かれた人がいた。その息子の信心には二間半の蛇の霊が出て、神に祀るよう言ったので、稲荷と祀っていた。
上田のお稲荷さんの白蛇
東京都大田区:上田の稲荷の松だかに白蛇が出て話題になった。ご利益があると参詣人が絶えず、夜通し囃子があるほどだった。
白蛇の神
東京都大田区:浦守稲荷のクスノキに白蛇が現れ話題となり、これに参詣して念願成就したという人が講を組織するなど流行神となった。
松巳稲荷のこと
東京都大田区:松巳稲荷のところには昔大松があり、うろに蛇たちが棲んでいた。これが表に出て、通行止めとなるほどに見物人が集まるようになり、警察からの注意もあった。
六郷神社のお使いひめ
東京都大田区:六郷神社の使いは尾の切れた蛇で、近くの船に乗り込んだりもした。社殿に出入りしていたが、境内の松や白旗の大杉にも巣を作っていた。
食用蛙の鳴き声
東京都大田区:大正の終わりころ、鵜ノ木の池で妙な鳴き声がし、大蛇かと騒ぎになった。ところがそれは食用蛙であるとわかった。
洗足池へお輿入り
東京都大田区:馬込の旧家の守護神と目された蛇が、洗足池の蛇との間に子をなし、池に輿入れした。しかし、小蛇を家の子息が殺してしまい、妻女の片目が流れてしまった。
蛇と船
東京都大田区:蛇は泳ぐので、昔の木の船にはよく乗り込んできた。青大将だから何もしないが、船に蛇は良くない。
かんまがりのうなぎ
東京都大田区:ある台風のあと、かんまがりの川べりに裸の若者が倒れていた。助け介抱した娘と所帯を持ったが、娘の作る美味しい料理には秘密があった。
荒川区
槇の屋のおぢ
東京都荒川区:榛木山の北を槇の屋の河岸といい、その雑木林に「まきの屋のおぢ」と呼ばれる大おろちが棲んでいた。
荒川のぬし
東京都荒川区:左甚五郎が荒川を渡る前に、岸の砂地に亀の絵を描いた。それを消さずに発ったので、絵の亀が動き出し川に入って主になったのだという。
かめのま
東京都荒川区:千住大橋の橋桁には間隔の広い所があり、そこには大亀が棲んでいるのだといわれた。それでその桁間を「かめのま」という。
板橋区
氷川池の白なまず
東京都板橋区:氷川神社の氷川池には弁天があり、お使いの白なまずが棲んでいた。白なまずは地震を予告したという。
足立区
氷川神社と白蛇
東京都足立区:氷川神社に白蛇が棲んでいた。姿を現すとそのあとに雨風など災害があったという。そのおかげで、舎人では災害への対策ができた。
小菅どん
東京都足立区:小菅の籾倉のそばには小菅どんと呼ばれる大蛇がいた。正覚寺の辺りには小菅どんの這った跡が見られたという。
牧の野の大蛇
東京都足立区:牧野の遊郭にお牧という美しい遊女がいたが、駆け落ちを約束した男に裏切られ、荒川に身を投じて大蛇となった。
葛飾区
八幡さまの神獅子舞い
東京都葛飾区:二合半には竜のような異形の獅子頭がある。ある大雨の際、この獅子頭を被った若者が対岸に泳ぎ渡り、その堤を切って落としたという。
雨乞の毛なし池
東京都葛飾区:大昔中川が決壊してできた水場に白蛇が棲みついたので、恐れ口を塞ぐものがなく池となった。
堀切の毛なし池
東京都葛飾区:将軍家御用達になり鳥魚の繁殖していたけなすな池に、雌雄の大蛇が棲みつき、人々は恐れ近寄らなくなった。
新宿を守る竜神さま
東京都葛飾区:突然路上に蛇の姿が現れ、自分は古くから新宿を守ってきたものであり、八大竜神と祀ってほしいと告げた。
ヘビの物見
東京都葛飾区:国府台の争いのとき、高木神社の大松に登って敵情を家康方に教えた老人がいた。老人は大松に棲む白蛇の化身だろうといわれた。
橋になった大蛇
東京都葛飾区:村人と仲の良かった大蛇が、大水の危機に自ら橋となり、皆を救った。大蛇は力尽き濁流に消え、村人は塚を築いて祀った。
江戸川区
ワラの大蛇
東京都江戸川区:雷の浜の祭の日に、昔は不動さまの松に藁の大蛇を絡ませた。大正六年の大津波のときには藁蛇の目が光り、浜の人たちが救われたという。
ワラの大蛇のいわれ
東京都江戸川区:昔、大津波のとき海上から大蛇が不動さまの松に泳ぎ着いて助かった。それで藁の大蛇を作って松にかけるようになった。
雷不動の大松
東京都江戸川区:行徳に向かう舟が大時化で難渋したとき、大松の上の光で方向を知り助かった。それで松に登ると、大きな竜がいたという。
元橋のおんじ
東京都江戸川区:境川に元橋という土橋が架かっていた。そのそばには大蛇が住んでいて、土地の人たちは恐れて元橋のおんじ、と呼んでいた。
八王子市
雨寶辨天橋とケーブルカー
東京都八王子市:ケーブルカーが造られる頃、美しい女が人力車に乗った。車夫が送ると、降りる女は見えず、大きな青大将が下りたという。清滝の雨寶弁天が、江の島の弁天に相談に行った帰りであったそうな。
関東の蛇山
東京都八王子市:横山竜ヶ谷戸から竜が舞い上がり、川原宿の深沢に降りた。心源院を中心とする山並みがその竜だといい、蛇山という。頭に秋葉神社があり、心源院は宝珠だという。
大幡と腰巻
東京都八王子市:昔、旗が飛んできて、山の腰に降り巻き付いた。それで、大幡山、腰巻という地名がある。旗は東へ飛んだが、高く上がったところを高幡といい、有名な不動さんがある。
蝮封じ
東京都八王子市:心源院の山では蝮に噛まれた者がいない。開山さまが蝮を封じ込めたためという。
立川市
矢川弁財天
東京都立川市:荒れ放題の弁天を修行僧と村人が清めにのりだした。ところが、修行僧はその夜、夢で蛇に害されたのだった。
とげぬきの薬
東京都立川市:佐衛門という人が、蛇の挙動から吉祥寺の木にとげぬきの効能があると知り、妙薬を作り評判となった。
青梅市
こひきヘビ
東京都青梅市:吹上峠には蛇が多く、殊に集まるさまを「こひきヘビ」と呼んだ。不気味なものだが、見ると立身出世が叶うという。
府中市
浅間山の大蛇
東京都府中市:浅間山のおみたらしには大蛇がおり、薪取りに来たおばあさんを驚かせた。
調布市
第六天は、おっかない
東京都調布市:第六天の大檜と蛇を伐った木挽きが気を病み死んだ。後にそこを桑畑にした人も気が変になったという。
蛇こしき
東京都調布市:蛇こしきを見るといいことがある、金が入るという。かんざしを差し入れるといいという。
狛江市
へーびこしき
東京都狛江市:蛇が寄り集まってとぐろを巻いているのをへーびこしきという。それができている家にはいいことがあるという。
多摩市
影取り池
東京都多摩市:影取り池は小山田太郎の奥方が入水したとも、主がいたともいう。水面に影が映った人を引いたというが、池は大水で堤が崩れて深田になったという。
棚原のヌシ
東京都多摩市:棚原には影取り池と行き来する蛇のヌシがいた。姿が見られた後、震災や戦争が起こったという。
蛇の橋
東京都多摩市:栗などのノロ二三本でかけてあった橋の一本が蛇であることがあったと聞かされた。
西多摩郡
じゃっくいじえもん
東京都西多摩郡瑞穂町:じえもんが狭山ガ池で水浴びをしたところ、大蛇が現れ襲ってきた。じえもんは驚いたが、巻き付く大蛇の胴を食いちぎって逃げた。
八丈島
タコのムコ殿
東京都八丈島八丈町:婿に来た若者は、いつも沢山の漁を上げて来たが、次第に顔色を悪くした。心配した嫁が後をつけ磯で見た婿は、大蛸の姿であった。