雷不動の大松

東京都江戸川区


雷不動は波切不動ともいい、その大松は海上数里からも見えた。ある時、行徳の塩田へ向かう舟が大時化で難渋した。そのとき、遠くに白く光るものを見て頼りに漕ぐと、真蔵院の大松のあたりにたどり着いた。

その後、ひとりの若者が松に登ってみると、一匹の大きな竜がいた。それで村人は松に〆縄を巻き拝むようになったが、竜は一振りの剣を残し、雲に乗って飛んでいってしまったという。

『江戸川区史 第三巻』(江戸川区)より要約

追記

原文は「雷不動」で、真蔵院の不動さまのいろいろな逸話を語ったもの(この竜の残した剣で雷を退治したという)。そのうちから、大松にまつわる伝説の部分を引いた。

土地の昔話としては竜というより大蛇であり、これより大松には藁の大蛇がかけられるようになったという(「ワラの大蛇」)。それが海浜からの目印であるという点は同じ。