雨寶辨天橋とケーブルカー

東京都八王子市


高尾山登山口、現在のケーブルカー清滝駅付近に弁天池があって、雨寶弁天の小祠がある。元は琵琶滝の上の雨寶ヶ峯にあったのを中古ここに移したという。この弁天さまにまつわり、最近のケーブルカー工事中の話がある。

浅川駅(現高尾駅)で降りた美しい女が、車夫に大急ぎで武相境の大垂見まで行くよう命じ、車夫は一生懸命走らせて高尾橋のところまで来た。そこで急に車が軽くなったので振り返り見ると、女の姿は見えず、大きな青大将が今まさに人力車から降りるところだった。

車夫は驚いて、車を放り出して逃げたという。これは雨寶弁天さまが、ケーブルカー工事により居所を失ったので、困って江の島弁天に相談に行った帰りだったのだということだ。

『旅と伝説』
(通巻69号)より要約

追記

高尾登山ケーブルカーの清滝駅近くに池があり、滝のように設えられているが、話にある滝・弁天の現状は不明。弁天さんは古くは馬子に頼んで、新しくはタクシーに乗ってまで移動する、という話題から参照するためにひとまず引いた。