ワラの大蛇のいわれ

東京都江戸川区


お不動さま(真蔵院)の鐘撞堂のそばには大きな松があって、この松に毎年ワラの大蛇をくくりつけた。それは昔、大きな津波が来た時、海から泳ぎ着いた大蛇が松の木にのぼって助かった。それからワラの大蛇をくくりつけるようになった。(旧東宇喜村村雷、須賀藤枝)

『江戸川区の民俗 4 葛西地区の民俗』
(江戸川区教育委員会)より

追記

この松は今はないが、往時は大潮に行われる祭のときに、藁の大蛇が作られかけられたという(「ワラの大蛇」)。上の由来では大蛇が松に泳ぎ着いて助かったのだが、松は土地の海浜で働く人の目印であったという。

またの由来として、松の上で光るものが時化の海上難渋する舟を救い、登って確かめると竜がいた、などという話もある。寺側で翻案されたような話といえるだろうか(「雷不動の大松」)。