かめのま

東京都荒川区


千住大橋の橋杭の三番目の桁間は「お亀のます」とか「かめのま」とか呼ばれていた。船がこの間を通ると間違いが起るとて、心ある船頭は三こま目を通らなかった。(倉橋辨治郎氏談)

一説には、大橋の桁間で育った亀が、成長しすぎて桁間から出ることができずに棲んでいる。どんな洪水にも大橋が流失しないのは、その大亀が、一生懸命に水をかいてくれるからだという。(小林於菟策氏談)

『新修 荒川区史 上巻』(荒川区役所)より

追記

江戸の千住大橋には橋桁の間隔が広い所があって、このような伝説が語られ、足立側では千住七不思議の一話とされている。そして、また、そもそもこの大亀の甲羅のせいでそこに橋杭が打てずに間隔が広くなったのだ、などともいう(『足立百の語り伝え』)。

その荒川(現在の隅田川)の千住の大亀なのだが、同じ亀なのか否か、荒川の主の大亀は左甚五郎の描いた亀の絵が動きだしたものなのだ、という話もある(「荒川のぬし」)。