上田のお稲荷さんの白蛇

東京都大田区


南六郷辺りの上田にお稲荷さんがあって、そこの松だかほら穴だかに白蛇が出て話題になった。占いというか、お参りに行くと病気が治るとか、悩みが解決するとかといって、流行した。大正中期のことだ。夜通し囃子など叩き、参詣人が絶えなかった。

『口承文芸(昔話・世間話・伝説)』
(大田区教育委員会)より要約

追記

このお稲荷さんは、現在の本羽田一丁目に鎮座される上田妙法稲荷神社のこと。かつては大松がありその根元に祀られた稲荷であったといい、その松の根元に蛇がいたことから「蛇稲荷」の異名を持っていたという。

周辺には同様に境内に蛇が出たことが話題となって流行神と信仰されたという稲荷がいくつもある(「白蛇の神」など)。蛇と稲荷が結び付く例は各地にままあるが、こう一地域にいくつもあるというのは珍しかろうと思う。