蛇の祟り

東京都大田区


蛇はね、いじったりしては、いけないってね。蛇を殺したら、子どもが、ぐったりしちゃってね、ちょうど、蛇が殺されたようなかっこうになっちゃったってね。だから、そうなるから、蛇は殺したりなんかするもんじゃないって、年寄りから聞きましたね。〔雪ヶ谷 女 大正6年生〕

『口承文芸(昔話・世間話・伝説)』
(大田区教育委員会)より

追記

殺したり粗末に扱った蛇が祟るという話は同地域にまことに多く、その重さからはまずお宮の蛇が祟るものがある(「稲荷の蛇の祟り」など)。殊に周辺地域は蛇を稲荷に祀ることが多く、その移動などで祟りの話も起こる。

次いで(数の上ではより多い)蔵の蛇が祟るものがあり(「蔵の蛇の祟り」)、これらは家の主の蛇という印象が強いだろう。そしてさらには、特に主ともいえぬ蛇も上のように祟るという。

それにしても、蛇を殺すと殺された蛇のようになってしまう障りがあるというのも『古今著聞集』の昔から古くからある話だ。古典の知識に基づくというわけでもないだろうが、そういう印象が連綿とあるというのも面白い。