埼玉県

2018.07.19


喜多川神社のおはなし
埼玉県飯能市

飯能の北川の杉の森の中に、小さな社がある。喜多川神社といい、妙見さまが祀られているという。妙見さまは大変に美しく、人々に平和と豊かな実りをもたらしてくれた。ある年の正月、その妙見さまがきれいな銭型模様の晴れ着をお召しになり、山かかしの蛇に姿を変えて社の外に出かけた。

茶目っ気のあるこの神様は、冬に蛇が出たと村人たちを驚かそうとしたのだった。ところが、大きな鶏に襲われ、元の姿に戻る間もなく、慌てて逃げようとして、ある家の門松で片目を刺してし、失明してしまった。村人たちはこのことを大変嘆き恐れ、それ以来鶏を飼うことと門松を立てることをやめた……

この記事へ…

埼玉県の竜蛇伝承一覧

さいたま市

見沼の竜神
埼玉県さいたま市大宮区:見沼干拓を進める井沢八惣兵衛の前に、見沼の竜神を名乗る女が現れた。

国昌寺の開かずの門
埼玉県さいたま市緑区:山門は開かずの門といわれ、門にある左甚五郎の龍が葬列の棺の中身を喰ったという。

釘付の竜
埼玉県さいたま市緑区:神社裏の池の暴れる雌雄の竜を左甚五郎が像とし、頭、胴、尾の三か所を五寸釘で打ちつけこれを封じた。

川越市

山内禁鈴・二人の竜女
埼玉県川越市:喜多院の和尚のもとに、鐘を撞かないでくれ、という娘と、撞いてくれという娘が訪れた。鐘を撞くと大荒れとなり、以後山内は鈴を禁じることになった。

熊谷市

おきのさん
埼玉県熊谷市:農家のお勝手などに、おきのさんという人形が祀られた。主婦が身近にお願いの出来る神様であったという。お蚕さんの神様だといい、蛇の化身であるといわれた。

オキヌさん
埼玉県熊谷市:養蚕の神として、相州皇武神社から伝わったオキヌ様という人形が祀られた。それで、鼠から蚕を守る蛇もオキヌさんと呼ばれ、養蚕をする家では蛇を大切にしろといった。

竜海
埼玉県熊谷市:竜海の大蛇を源頼義の命で島田大五郎道竿が射止めた。分断した大蛇を埋め、弁天・八幡が建てられた。

川口市

浅間社のぬし
埼玉県川口市:合祀先に連れて行ってもらえなかった浅間社の蛇が祟り、三年に一度人の命をとった。それで蛇を連れて行くことになった。

秩父市

和田の池
埼玉県秩父市:安谷川の和田の池という淵あたりで、山崩れが起きかけ、不思議な声が聞かれた。近所のお婆さんが同じ頃、怪我をしていたという。

秩父神社の水のみの龍
埼玉県秩父市:左甚五郎作といわれる神社の龍の彫り物が抜け出し、田畑を荒らしたので、鎖で繋がれた。

所沢市

滝之城の大蛇
埼玉県所沢市:滝之城は大蛇に守られており、小田原が落ちた際も耐えた。しかし神楽におびき出され大蛇は討たれ首をなくし、逃れた先を頭無という。

飯能市

喜多川神社のおはなし
埼玉県飯能市:喜多川神社の妙見さまが山かがしに化けて出かけたが、鶏に襲われて角松で片目を突いてしまった。以来、この里では鶏と角松は禁忌であった。

竜の山引き
埼玉県飯能市:村の娘に恋していた竜が、山引きを手伝ってくれ、と娘に頼んできた。このときは、娘は断り、村人はオサを立てて山引きを防いだという。

深谷市

象殿の池
埼玉県深谷市:象殿の池の大蛇は、去る際女となって寺を訪れ、酒の尽きぬ徳利を置いて行った。定光院本殿の天井の蛇はこの蛇を描いたものだという。

越谷市

清蔵院の龍
埼玉県越谷市:清蔵院に左甚五郎作という龍像があり、葬列の棺の中身をとったという。それで龍は分断され、釘付けにされた。

朝霞市

お不動さまの竜
埼玉県朝霞市:不動さんの滝の竜がいたずらをするので殺し、石の竜を水底に沈めた。この石の竜を洗うと雨が降ったという。

志木市

首無しと首弁天
埼玉県志木市:藤原長勝が田にしようとした淵には、長すぎて頭が見えぬという大蛇がいた。長勝は不動明王の加護でこの大蛇を討ったという。

新座市

かしらなし
埼玉県新座市:昔、かしらなしという沼地があった。誰も頭を見た人のない大蛇が住んでいたのでそういった。胴を見た人がいたが、とんで帰って間もなく死んでしまったという。

かしらなし沼
埼玉県新座市:昔、沼に住むおろちが村人を困らせた。領主の郡司長勝が討ったが、おろちは頭を見せぬ大きさで、沼はかしらなしと呼ばれた。

桶川市

泉福寺の竜
埼玉県桶川市:泉福寺の左甚五郎の竜で雨乞いを行ったが、洪水となってしまった。それで竜は縛られることになった。

坂戸市

朝茶の由来
埼玉県坂戸市:長瀞で大蛇に襲われた熊さんが、茶を飲んできたのをジャ(蛇)を飲んできたといって、蛇を驚かせ難を逃れた。

おきぬさん
埼玉県坂戸市:蚕の守護神として、おきぬさんという人形があり、講の形もとっていた。人形は白蛇の御神体とともに神奈川の渕野辺村から届き、掛軸には白蛇をまとった女神に描かれた。

ふじみ野市

水塚
埼玉県ふじみ野市:大水の際に、牛馬を避難させるための大塚・水塚があった。江戸時代中頃の大水でも水塚は牛馬でいっぱいになったという。

北足立郡

頭殿社
埼玉県北足立郡伊奈町:頭殿社はかつては今の社をオドーサマ(雄堂様)、丸山沼の対岸にも社がありこれをメドーサマ(雌堂様)といった。そして、その間を蛇が行き来したという。

権現様の森の大蛇
埼玉県北足立郡伊奈町:権現森で職人が松の木と思って腰をかけたが、それは大蛇だった。逃げ帰った職人は、介抱の甲斐なく死んでしまったという。

丸山沼の大蛇
埼玉県北足立郡伊奈町:舟で魚をとっていたおじいさんに、丸山沼の大蛇が向かってきた。おじいさんはてこずりながらも大蛇を倒したが、その話を繰り返ししていたという。

龍巻絵書き
埼玉県北足立郡伊奈町:絵書きが地面に書いた龍が、龍巻となって荒れ狂った。その竜巻は大被害をもたらし、丸山沼の主になったといわれる。

比企郡

逆杉
埼玉県比企郡小川町:八和田神社に四十九日内の人が参ると、逆杉から白蛇が出たという。この杉は大祝諏訪小太郎頼水が投げた枝であったそうな。

池田沼の鐘
埼玉県比企郡小川町:池田沼の上の寺の鐘が沼に落ち、鐘は大蛇となった。この大蛇を見た人は病んで死んだという。

龍の枕石
埼玉県比企郡吉見町:松山城落城の際、城主の姫が自分一人の命で家臣を救わんと、市の川に入水し龍となった。この龍が枕とした石が市の川にはあったという。

秩父郡

出原のこうせんまんじゅうと大蛇
埼玉県秩父郡小鹿野町:出原の氏神の化身は大蛇で、こうせんまんじゅうが大好きだった。よその大蛇が狙うこともあった。

大蛇山を崩す
埼玉県秩父郡小鹿野町:矢で傷つけられた大蛇が怒って流域を押し流した。この霊威を恐れ祀られたのが白蛇大権現諏訪大明神だという。