写真の練習帳 Lv4写真術

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3/6 Lv4(/100)写真術

Q. え?iPhotoって、こんな風になるんですか?
A. ……なったらいいなー、って。

さて、Lv4写真術。今回は前半にいくつかテクニカルなことをあげて、後半ピックアップとコメントを。右の項目リストからジャンプできます。

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追い込みの基本手順

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PhotoshopElements

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iPhoto

PC上にカメラからデータを落した後、レタッチソフトなどで写真を調整する作業を「追い込み」と言う。
ちょっとコントラストを強調したり、写真に写ってしまっているゴミや水滴を消したり、ということから、写真をまるで違う印象を持ったものにしてしまうことまで色々できてしまう。写真を撮る人の間でも、「存分にレタッチしたものが作品だ」「いや、それでは何でもありになってしまう。カメラが写したそのままが写真だ」と意見が分かれる。が、ぶっちゃけデジタルカメラというのは撮影した段階でカメラ内のプログラムが多かれ少なかれレタッチしてしまっているので、「絶対レタッチはしない」というのもナイーブすぎるというものだろう。

要はレタッチで自分の撮影の腕がぼやけてしまわない程度に調整したら良いと言うことだ。また、写真が「商品」である場合は時間の許す限りレタッチでブラッシュアップするのは当然である。

もっとも今回はそんな大それた話ではなく、特にカメラ・写真に習熟しようと思う訳でもなくあれこれ撮影している写真もちょっとした作業でずいぶん変わるのですよ、という点だけを。

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調整前

↓調整後
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基本的な流れ

ウェブ上の写真そのものに特に入れ込んでない記録写真なんかは左のような感じに撮れていることが多い。漠然として平面的なのだ。無論構図なんかの問題も大きいのだけれど、ちょっとレタッチすることでずいぶん「締まって」見えるようにもなるものである。基本的な流れは…

1. レベル補正
2. 彩度調整
3. リサイズとシャープニング

の3段階だけだ。

まずレベル補正。これは画像の明るさを調整するもの。大概のソフトはつまみが三つあると思うが、左が黒、右が白、真中が中間調である。で、基本的にはこの中間調を調整する。この例のようにしらっちゃけて撮れてしまっている場合は中間つまみを右へスライドさせると暗い部分がより暗く強調される。どのくらい、というのはその写真によるのでプレビューを見ながら。シャドウが強調されて、締まって見えるので、ついついやりすぎてしまうが、基本的に「それは自分の撮った写真か」と思いながらやってれば程々ですむだろう。

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そうしたら次に彩度を少し上げる。元画像がしっかりと中間調をとらえていたらこの必要はない。また、上げすぎるとあり得ない写真(下画像)になってしまうので注意。この彩度も上げると鮮やかな色になるのでやりすぎてしまうが、ソフトで彩度を上げた画像はこの手のソフトを使い慣れている人が見たらすぐ分かってしまう。これも、程々が肝要だ。また、下でやや詳しく述べるが彩度を上げ過ぎると印刷で表現できない画像になってしまう恐れがある。その点も注意。

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画像そのものに関してはこれだけなのだけれど、後はウェブ用画像の用意などの際にスケールダウンした際の調整がある。

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元画像の半分以下のサイズに落したりすると、大概画像がボケる。ここでシャープニングをして画像をくっきりさせるだけでずいぶん違う。左は上が縮小しただけの状態。下がシャープニングした状態。Photoshopなどでは「アンシャープマスク」というのを使うとこうなる。ただし二重にかけたり、強く適用させすぎると直線部分がギザギザになって来るので、これもやりすぎないように。

もちろん「ピントが合っていない」とか「手ぶれ」とかを帳消しにしてくれるということはないので、シャープニング一回してもボケてるから二回やれ、とやってもまず無理だ。それは純粋に撮影の問題である。

これらの作業は安価なレタッチソフトで可能だし、MacならはじめからついているiPhotoでできる。たったこれだけの調整でも結構ましになるものだ。たとえ「記録写真」といってもこのくらいは手をかけてみても良いのじゃないだろうか。後はやや細かい点の注意。

※レベル補正の注意
レベル補正の左のつまみを右にやってもシャドウが強調される。が、これは「黒未満の暗い所」がどんどん真っ黒になって行ってしまっているのだ。要は「つぶれた」画像になってしまう。元写真が余程白く撮れてしまっている場合でもないかぎり、あまり使わない方が良い。

※彩度の注意
パソコンやテレビの画面が映す色合いと、印刷物の表現できる色合いは違う。印刷物の方が表現できる範囲が狭い。モニタ上で鮮やかすぎる画像を作っても、普通印刷できない。詳しくは「RGBとCMYKの違い」などで調べてみよう。ここでは特に「青」に注意を促しておく。鮮やかな青は通常の四色印刷はおろか特殊印刷でも再現は困難である。印刷は特に青に弱いのだ。彩度をいじって鮮やかにする際は(かつ印刷する予定がある場合は)この点を覚えておきたい。

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マニュアルフォーカス

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コンデジのオートフォーカスは大概「コントラスト検出式」と言って、ピントを合わせたい対象の明暗から(その明暗がボケないような)合うピントを検出している。逆に言ったらコントラストのないものにはピントは合わない。これは「見かけ」というよりほぼ光量の問題だ。一見のっぺりとしたものでも十分明るければカメラはミクロなコントラストの差を検出し、ピントを合わせる。しかし、光の絶対量が足りないと見た目コントラストがあるものにもピントは合わなくなる。

大体左のような夜間撮影や、霧にまかれた風景はまずオートフォーカスが働かないと思って良いだろう。そうなるとマニュアルフォーカスで撮影して行くことになる。

んが、カメラが「よく見えない」ものは人間が見てもやはり良く見えない。オートフォーカスが働かない対象にファインダ上でピントの合っている・合っていないを見極めようと言っても難しい。と、言うか確実には無理だ(無論使ってるカメラと本人の練度によるだろうが)。

こうなると「当たりをつけて」前後にピントをずらしながら何枚も撮るしかない。1ショット1設定(露出の)に3枚5枚と撮る。一気に撮影枚数が数倍になってしまうのだ。幸いデジタルカメラはフィルム代は気にしないで良いのでそれは良いが、思ったよりも時間を食うものである。

このような対象を撮影することになると予想される場合は時間を良く考えておきたい。加えて、より試す設定のバリエーションを絞り込めるように、練習をくり返しておく必要があるだろう。

また、このような撮影では少しでもピントの合う範囲を長く取るために絞った状態で撮影するとややましになる(絞りは絞るほど長い範囲にピントが合う)。となるとシャッタは長時間開放となるので三脚は必携である。

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ピックアップ

歩き回って粘る

13.psd 2/21 タイトルバック「俯瞰風景」
世代的にはこの状況は「空の境界」というより「童夢」という感じだが、どちらも高層団地が舞台となっているのは面白い。なんか、あるのだろう。
それはともかく、この写真は「暗いけど灯りのともってない状態」を目指していた。昼頃は晴れていて、夕方から曇って来たのだが、その夕方にうまいこと狙っていた光加減になった。要は一日中空と高層アパートを見ながらウロウロしていたのだ。われながらとんだ日曜日の過ごし方をするようになったものである(笑)。


座標が入れ替わる写真

04.psd 2/21 俯瞰風景
で、その「俯瞰の構図」に関してこの日一日では今ひとつピンと来なかったのだけれど、帰って来て撮った写真を睨んでいるうちにふと気がついた。この写真が解の一つだろう。要するに奥行きを構成する座標軸が垂直軸になる、ということだ。というよりも、通常の奥行きを示す水平軸が感じられると「浮遊感」は一気に無くなる。座標の入れ替わった世界。いずれそれを念頭に「俯瞰風景 II」をやるつもりだ。


「知らない」街

14.psd 2/22 タイトルバック「路地クルーズ」
実はこの一枚が撮りたいが為に、全体を「路地」にこじつけた日(笑)。これは昨日の「俯瞰」が再度転倒した水平軸の奥行き、ということを考えていたことによる。何というか、「落っこちそうな路地」というのが撮りたかったのだ。ま、そううまくはいかなかったけれど。
しかし、路地を探して歩き回ってみると、長いこと住んでる街が意外と知らないことばかりだったのに唖然とする。振り返って考えれば、自分が住んでる半径500mくらいだって、そのほとんどの光景は想起できない。地元とは言っても意外と「知らない」街なのだ。


好みの路地

11.psd 2/22 路地クルーズ
「路地」というのは被写体として人気で、有名な写真家がそのタイトルで写真集を出していたりもする。そういう全国規模での「素敵路地」を見てしまうと自分の住んでる所の路地なんて、と思ってしまいもするが、結局はそのあたりは好みの問題なので地元にぐっとくる路地が発見される可能性をあきらめることはない。あたしはどちらかというとこの写真のようにややカオス入っている路地がお気に入りのようだ。


背景ぼかし

03.psd 2/23 笹と狐
稲荷のお狐さんというのは実に魅力的だ。古いのも新しいのも。多分この日にも書いた「INARI RED」というのは日本人の深層に何か訴えるのだろう。この写真は背景ぼかしがうまいこと決まった一枚。個人的には「背景ぼかし」というのもあくまで一手法であって、あまり多用するのもどうなのかと思いはするが、ツールとして使えれば当然その魅力を発揮させるべき所で発揮させることができる。


ちいさいもの

07.psd 2/23 笹と狐
「カメラ的目玉」というのは、もちろん色々あるだろうが、特筆すべき一つはこういった「ちいさいもの」をとらえる視線になる、という所にあるだろう。足下のこの光景に気がつき「あら、まあ」と思っても、この光景は写真以外の方法では「その様子」を伝え難いように思う。他の方法で伝え難いものを伝えるための……その基本は忘れないようにすべきだ。


真正面

06.psd 2/23 笹と狐
お社を真正面から撮るのは基本的には無礼である。本来は神社の参詣は正面に立たないように参道も端を歩くのが礼儀だ。帰りに尻が神さまに向かないように、とわざわざ参道が折れている神社も少なくないほどだ。が、時として正面から撮る誘惑にかてないお社もある。こんな風に。後はもう「仕様のないやつじゃの」と笑って頂くことを祈るのみだが、そこで少なからず畏怖を感じるあたりあたしも現代っ子と言えやはり日本人なのだと思うところである。


連続ポスタ

15.psd 2/23 笹と狐
同一のポスタが連続で貼られている光景は絵になる。そういう光景に行き会ったら、その日のテーマはさておき撮っておくと良い(笑)。


神社のアップ

04.psd 2/23 笹と狐
無論これまでにも資料としてアップで神社の部分を撮ることはあったが、はじめから部分を切り取るつもりで撮ったのはこの辺がはじめて。何となく「神社の写真」というと拝殿の全体が写るような絵が多いが、一枚で終わりでなく、アップで切り取って行く絵が何枚もあって連作で見せて良い、と思ったのだ。当たり前じゃん、と言えばそうなのだが、そういった当たり前に「実際に」気がつく時というのがあるものなのだ。


10.psd 2/24 笹狐・連
写真家にとって風は重要だ。動かない写真に動きをもたらすのが風だ。
この光景も道を折れて目にした時はただだらんと垂れ下がっているだけだった。「風が吹いたら……」と思ったのでそこでずっと待っていたのだ。やがて風は吹いたのだけれど、そうなると今度は「風のサイクル」が問題となる。風はサイクルを持って強く・弱く吹く。一番翻るポイントをとらえることができるように風のサイクルを読むことになる。


インスピレーション

15.psd 2/25 タイトルバック「猫の目」
本当はこの日は街中の小さなお社を撮ってまわろうと思っていたのだけれど、ふと見上げた屋根に耳がぴょこんと飛び出て急遽「猫の目」なるテーマに変わった。
個人的にはこうして「外から」やってくるインスピレーションによってその後が変わることが多い。大したテーマを持ってないからじゃね?と言えばそれまでだが。


なんでもない写真

05.psd 2/25 猫の目
こんな光景は要は自分の家の裏庭みたいなもので、はたしてシャッタを切る甲斐があるのかないのか……と言えばあまりなさそうな気がする。猫がいなかったら撮らなかっただろう。逆に、そんななんでもない光景を撮る後押しをする存在は貴重だ。最終的にはその後押しをする本体は自分の中の「写真回路」に他ならない、ということになるのだけれど。


共時空間

16.psd 2/26 タイトルバック「共時空間」
「共時空間」とタイトルを付けて、そこに何も説明しなかった(笑)。「共時」とは時間を止めて現象を見る視点のことを言う。反対は「通時」である。神社というのは大変「共時的」にその空間を見せる装置である。場合によっては数百年前の人がそこで見ていたのと変わらないものをわれわれに今見せてくれる。神社を撮るということは、共時空間を撮るということに他ならない。


神社アップの成果

04.psd 2/26 共時空間
先に上げた「はじめからアップで切り取るつもり」という意識が成果を生み出している。そうでないとこうは撮らなかっただろう。しかし、写真を撮るようになって結構愕然とすることが多い。あたしはこんな造形が自分の生活圏内にあるなんて思いもしてこなかった。本当に自分の周辺のことすら、何も知らないで生きていたのだ。


先へ行ってモノを言う

06.psd 3/1 夜灯
この写真は鰻の蒲焼きを食べさせるお店で、別にさほど有名な訳でも歴史がある訳でもないだろう。が、こういった写真を撮れるというのは先に行ってモノを言うように思う。例えば歴史的な風情の横溢する京都なんかの街に行った時に、このような光加減のモチーフを撮ることができる、ということがあらかじめ分かっているのは心強い。先に行って撮りたいものと同様の光景を身の回りで撮っておくのは重要なことだ。


見えるものの意味

05.psd 3/1 夜灯
夜景は大部分が真っ黒になる。無駄と言ったら無駄だが、そこで照らし出されているのは、人間がそこを重要と思った、ということでもある。夜は昼には見えない、人にとって大切なポイントを浮かび上がらせる。夜間撮影にはそういった魅力があるように思う。


ローコントラスト

10.psd 3/2 さんかんしおん
朝日や西日で影の強調されたコントラストの高い絵は格好良く見える。ただの壁に対面家屋の影がかかるだけでも写真になるものだ。と、言うとまた身も蓋もないが(笑)。逆に言うとローコントラストで魅力が出てる光景は貴重であるとも言えるだろう。「練習」を眼目としている時はローコントラストの光加減を恐れずにモチーフを探して歩き回るべきだ。


よくぞ寝てくれた(笑)

17.psd 3/3 タイトルバック「春眠」
この写真は結構離れた所(土手の上)から最大望遠で撮っている。直線で下りられる所ではなかったのだ。しかしその甲斐あって、ウロウロちょろちょろしていたこの猫がぺたんと座って顔を洗ったり後ろ脚で頭をかいたり(実は全部撮ってある…笑)した挙げ句にうっつらうっつらと寝はじめた。多分近寄っていたら寝なかっただろう。何が吉と出るかは分からないものだ。


金網越し

02.psd 3/3 春眠
金網越しはうまく撮れないだろう……と思っていたのであまり撮ってこなかったのだが、ふと撮ってみたら結構撮れてた。こういうのもマニュアルフォーカスでピントを合わせて撮る(AFだと大概手前の金網にピントが合ってしまう)。できるだけ金網はぼかしたいのでピントの合う距離が短くなるように絞りは開放する。と、言っても一眼のようには……と思っていたのだが、このくらい撮れるならもっと撮っても良いかしら。何でも撮ってみるものだ。


左右比の違い

05.psd 3/3 春眠
この階段を画面の対角線で結ぶようにしてすべてを入れることは左右比の違いで不可能だ。さて、そうなるとこのように尻切れにせざるを得ないのか、あるいは全体を入れた上で、横長にトリミングした状態でフィニッシュしたら良いのか。4:3という写真の基本的な縦横比にどこまでこだわるべきなのか……ちょっと分からない。


今回の猫代表

03.psd 3/5 また来たのかニャ!
猫というのはさりげなくふてぶてしい。一見ちょこんとかわいらしくおさまっているが、ぜひ拡大してそのツラをよくよく見て頂きたい。まったく、人間風情がウロウロ目障りなもんさ。と、思っているに違いない顔だ(笑)。


どこまで補正するか

04.psd 3/5 また来たのかニャ!
ここで言う補正というのは色調などのことではなく、穴を塞ぐかどうかということだ。写真を良く見ると、この蛇の目は所々穴が開いているのが分かるだろう。これはPhotoshopのスタンプツールなどで塞ぐこともできる。その方が「きれいな」写真にはなるだろう。このあたりはその写真が素材なのか完結したものなのか、という視点に多分によるだろう。


広角で寄る

12.psd 3/5 また来たのかニャ!
この写真を離れた所から望遠気味に撮ったらあまり面白くない絵になっただろう。同じ要素を同じような比率で画面におさめても、広角で寄るのと望遠で拡大するのとでは全然違う絵になるのだ。構図、というのは平面上の配置だけでなく、奥行きがどう表現されるかということでもある。


増え続けるモチーフ

13.psd 3/5 また来たのかニャ!
そんな感じのLv4クール。いやもういくらでもモチーフというのはあるのだ。500m歩く間に100枚とか撮っていることも普通になりつつある。居住地区周辺、という点は変わってないし、あたしが写真を撮りはじめたのに合わせて誰かがモチーフになるものを置いていってくれている訳でもない。「写真回路」という発想は多分正鵠を射ていたのだ。写真は撮れば撮るほどより撮れるようになっていくのだと思って良いのじゃないか。
いずれ強烈なスランプの来る、その日まで(ま、来るでしょうな…笑)。


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