栃木県

2018.09.15


糠塚山の蛇娘
栃木県鹿沼市

昔、糠塚山の近くに住む平六が、いつものように狩りへ行こうとすると、妻のおみねが今日はやめるように言った。平六が大蛇に呑まれる夢を見たのだという。しかし、いつにない上天気に、平六は気にするなといいおいて、糠塚山へ狩りに出かけた。

その日は面白いほど獲物が獲れ、平六は昼も食わずに追い続けた。そして、ようやく一息入れ、西の山に黒雲がかかるのを見た。亡き父がそれは凶兆であると言っていたのを思い出し急ぎ山を降りようとしたが、その時落葉を踏む音が聞こえ、美しい着物姿の娘が山を降りてきた……

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栃木県の竜蛇伝承一覧

栃木市

鰻お小屋
栃木県栃木市:太平山には鰻を放つ池があり、そこへ放った鰻は白くなったという。しかしこの鰻たちも、幕末所謂勤皇の太平天狗たちに食われてしまった。

鹿沼市

糠塚山の蛇娘
栃木県鹿沼市:平六が山中狩りに行き、蛇の化身である娘に酒の池をもたらされた。ところが心配して後をつけた妻が二人を見て逆上し、刺してしまったという。

オセン淵
栃木県鹿沼市:叶わぬ恋に入水した娘オセンの名からオセン淵という淵がある。町内には、お膳をかすというオゼン淵という淵もある。

竜の頭と竜の尾塚
栃木県鹿沼市:干ばつの時、わずかに残った小倉川の水を竜が現れ飲み出してしまったが、水神祠からの矢が竜の目を射抜いた。

竜の尾塚
栃木県鹿沼市:干ばつの時、水に渇した竜が現れたが、淵より金色の竜・小倉川の竜神が現れ、戦いとなった。

日光市

山菅の蛇橋
栃木県日光市:二荒山頂をきわめようとしていた勝道上人は大谷川に遮られた。そこに深沙大王が現れ、蛇の橋を架けて上人らを対岸へ渡した。

大田原市

川浸り餅
栃木県大田原市:巫女に七つまでの命だといわれていた子が、七つのとき、餅を持って川へ行った。すると大蛇が現れたが、子は餅を大蛇に喰わせ、難を逃れた。

那須塩原市

水穴権現の大蛇
栃木県那須塩原市:水穴権現の数千年の大杉に大蛇が棲みついた。人畜の害も少なくないので、皆難儀していたが、大蛇は雷に打たれて死んだ。

さくら市

食わず女房と軒菖蒲
栃木県さくら市:飯を食わぬ嫁の正体はネズミなどを食べる大蛇だった。正体を見、追われた婿は菖蒲の茂みに隠れた。

軒菖蒲の由来
栃木県さくら市:沼の主の大蛇に見込まれた娘が、蛇の子を菖蒲湯で堕ろしたのにちなみ、軒に菖蒲などを刺す。

下野市

花見が丘
栃木県下野市:川合兵部の妻が悋気に狂い、夫と妾を食い殺して大蛇となった。この魔性を済度したのが親鸞であるという。

芳賀郡

食わず女房
栃木県芳賀郡茂木町:飯を食わぬ女房を不審に思い覗くと、女房は頭のつむじの中へ飯を入れていく竜だった。逃れた男が蓬菖蒲の中にいると、竜は男を見つけることができずに去った。

弁天の大蛇
栃木県芳賀郡芳賀町:祖母ヶ井の弁天様には大蛇がいるといわれたが、祖母ヶ井の人には見えないのだった。

下都賀郡

明神さまの本体
栃木県下都賀郡野木町:野田明神は蛇で、日光街道をお通りになった偉い神様への挨拶に、その頭を鳥居の上に乗せて現れた。