明神さまの本体

栃木県下都賀郡野木町


野木明神の本体は蛇だという。昔、えらい神さまが日光街道をお通りになるときに、方々の神さまが出迎えたが、明神さまだけがでてこない。出迎えさせようとして訪ねてみると、一の鳥居から三の鳥居まで七巻まわるほどの蛇が出てきた。あまりにも大きな体であったため、出迎えることも無理だろうというので、鳥居を七巻きまわり、首を一の鳥居の上にのせて、神さまを出迎えさせたといわれる。

『古河市史 民俗編』古河市史編さん委員会
(古河市)より

追記

茨城県古河市(は下総)の方で得られた話なのだが、野木明神さんというのは北隣の栃木県下都賀郡野木町の野木神社のこと。古河との境からは一キロもなく、明らかにそこの伝説なので、野州の伝説としておく。

野木神社は東国には珍しい莵道稚郎子命を祀る社で、それがなぜ蛇の神様だとなるのかは現状不明なのだが、利根川をさかのぼって群馬県太田市の方で参照されているので(「野木様と例幣使」)、そちらから見るために引いた。