池から出てきた大蛇の頭骨

神奈川県逗子市


池子には笹倉の大池・小池子の擂鉢池・廻倉の池の三つの大きな池があった。今も逗子高校前にある大池は半分以上埋立てられたが、広地(運動公園のあたり)まで水が引かれる重要な池で、泳いだり魚を捕ったりと、子どもらの良い遊び場だった。

擂鉢池や廻倉の池はもうないが、擂鉢池には上池と下池のまた二つの池もあった。この上池を浚ったときに、大蛇らしき頭の骨が出て、東昌寺に納められたことがあった。結局大蛇ではなく他の動物の骨だったが、大蛇伝説にふさわしいうっそうとした湿地帯であった。

『逗子子ども風土記』(逗子市教育委員会)より要約

追記

擂鉢池というのは池子小学校の北側あたりにあったらしい。擂鉢池には大蛇が棲むと噂されたようで(「池子の大蛇」)、確かに近くの池からそれらしい頭骨が出たら大蛇のものと思われただろう。

また、土地の勇士が七頭の毒蛇を討ったという伝説を語る池子故に(「六社大明神」)、池から頭骨が出たときは、それも想起されたに違いない。

鎌倉の深沢のほうでも頭骨が現れ、江の島縁起の五頭竜かと思われたという話が近世にあるが(「深沢の髑髏」)、古くから大蛇伝説のあるところでは、そうでない土地より出てくる骨などに敏感になるものだろう。