お瀧の堰

神奈川県綾瀬市


お瀧の堰には下に江の島の岩屋に続く洞窟があり、大蛇が住んでいた。目久尻川が整理される前は大木がかぶさって昼でも気持ちの悪いところだった。

千手観音の清水寺にあった松に龍が登って明かりをつけ龍頭の松といったが、龍とはその大蛇であったという。相模湾の漁師は、夜目標を失うと、その明りを目当てに帰ったそうな。(大正四年生 男)

『小園の民俗』(綾瀬市)より要約

追記

お瀧の堰(瀧ノ堰)があったのは望地(もうち)という土地で、そこはもう海老名市になるのだが、大蛇の伝説は綾瀬市小園のほうで語られる。清水寺(せいすいじ)も海老名の弥生神社のあたりで、今は龍峰寺が移ってきてその地となっている(松はもうない)。

ちょうどこの西で相模川に流入する西相模側中津川のほうにも、江の島の弁天が上って行ったという話があるが(「塩川滝の由来」)、似たような話がこちら側にもあったものかもしれない。

なお、こういった龍燈の松、海上からの指標となった竜蛇の松の話には、実際松に藁蛇など巻きつけたりなどした可能性がある(「ワラの大蛇」など)。近古にはすでに海が遠くなっていた海老名だが、一応気にしてはおきたい。