大きな池のあった神社

神奈川県茅ヶ崎市


元町の水沢製材所付近にはカヤが生い茂っており、開墾のためか俗にいう芝焼きをした。それでそこに住んでいたヘビが火に追い詰められて固まって死んだという。

大池という池もあったところだが、このヘビを犠牲にしたということで、弁天様の祠を建て祭ったという。自分の家は当時近くにあったが、その弁天様の主という二メートルくらいのアオダイショウが遊びに来ていたこともあった。

『しんまちを語る』夏目善治
(新町地区自治会)より要約

追記

話の大池とは、清兵衛新田が拓かれたという湿地にあったもので、伝説的な話では大蛇と思しき怪物が飛び去ったと語られもする(「大池の弁天様」)。

それが、池のあった当時を知り、そこで遊んでいたという古老の語りでは(原文は対談)、上のような現実的な話の線でおさまっている。このような二面が語られる事例は、伝説の発生・変質を考える上で重要なものだろう。

殊に、現場直近の人はあまり突飛な話は語らないものである(「私の泳いだ彦六ダブ」など)。伝説が生まれるには、そことの距離というのもある。