大きな池のあった神社

原文:神奈川県茅ヶ崎市


飯田 これは私が聞いた話なんですが、いまの元町の水沢製材所付近にカヤがいっぱい茂り、開墾が目的かどうかわかりませんが、その一帯を俗にいう芝焼きをしたんですね。そのとき、そこに住んでいたヘビが、火に追い詰められて、かたまって死んだという説がありました。

高橋 本村の石井仲治さんに聞いた話ですが、その付近は、昔、大池といわれていたとか。池もあり、カヤがいっぱいあって、さびしいところだったようですね。ヘビもねー……

飯田 ヘビを犠牲にしたということで、当時の人が「祠」を建て、つまり、祭をしたということですね……それが水沢さんのところにあったようです。ですから弁天様の神霊はヘビですね……

司会 その「祠」が、いつの日にか現在の新栄町にある稲荷社のところに移されたんですね。

飯田 そうですね。私の家は当時すぐそばにありましたが、子どものころ、弁天様の「主」だという二メートルくらいのアオダイショウが池の周囲に住んでいたのを覚えています。
この「主」が私の家に遊びにきたこともあります。夜中にネズミを取りにきたのかなあ……天井の梁を伝わっているのを見たことがありました。おとなしくしていて、朝になると池に帰っていったのを子どもながら覚えています。いまこうして話すと気味の悪いようなことですが、当時は弁天様の「主」だということで平気でしたね。

司会 池はかなり大きかったのですか。

飯田 子どものころですから大きく見えたのかもしれませんね。道路に面して「コの字形」でした。

中川(フサ) 橋がありましたね。

飯田 そう橋があった……大きな木もあり、みんなのよい遊び場でした。

『しんまちを語る』夏目善治
(新町地区自治会)より

追記