鷹取山の蛇

神奈川県横須賀市


鷹取には三浦半島にいる蛇が全種類いるというほど蛇が多く恐れられた。追浜小学校北に、獅子頭鼻という岩のある獅子の山があるが、この山に赤い大蛇が巻きつくと雨が降るといった。大蛇はもういないが、今でも鷹取山に低い雨雲が垂れると、すぐに雨が降る。

そのような蛇も、今は青大将と地もぐりだけになった。団地造成で上流にいた青大将が里に下りてきて、鷹取町が青大将だらけになる騒ぎがあったりはしたが。(鷹取・男)

『古老が語るふるさとの歴史 北部編』
(横須賀市)より要約

追記

この西側は逗子市池子で大蛇退治の伝説があるが(「六社大明神」)、その話は鷹取の方でも語られ、その大蛇は鷹取山麓の池から出た、というふうにいわれる(同『古老が語るふるさとの歴史 北部編』)。

その鷹取山周辺はこのように蛇の棲家として恐れられたところであった、ということだ。獅子の山というのは追浜小学校北とあり、鷹取山よりは一キロほど北になるが、一連の山中だったのだろう。今はもう住宅地でその感覚もよくわからないが。

それにしても赤い大蛇が山を巻くと雨、というのは興味深い話ではある。そのような言い方をする類例が思い浮かばないのだが、そう見える自然現象が何かあったのだろうか。逗子市上山口の方にも蛇が山を巻いたという話はあるが(「蛇骨山・蛇塚」)、似た感覚のある話か。