昔、北田島あたりは沼地が多く、伊佐沼ともつづいていたという。その中に深い所が二か所あって、どんな日照りでも干上がることなく水が湧いていた。村人はそこを「小池」と呼んで大切にしていたそうな。ところが、ある日のこと、水遊びをしていた子どもがあやまって溺れかけてしまった。
すると、水の中から二匹の大蛇が現れ、子どもを救いあげ助けると、悠々と去っていったという。この噂が広がり、池の主に祈ると雨を降らせてくれたり、大水の時には水害から守ってくれるとされ、お供えなどされた。
小池の大蛇は仲良く、一緒に出かけるのを見た人もいた。村の守り神とあがめられていたが、病気であっけなく二匹とも死んでしまったという。村の人は小さな祠を建て、屋敷神の神明社と祀った。田の中にも祠があり、大蛇の歯を家宝としている家もあるという。