高麗山の蛇

神奈川県中郡大磯町


高麗山の蛇:ある家のおふくろさんが高麗山の大きな蛇を見て、そのあと病んで亡くなったという。(明治三十四年生、女性):『大磯の民俗(二)』

高来神社の大蛇:知り合いが高来神社に行ったら、縁の下の大蛇がきた跡があったという。高来神社には大蛇がいるといっていた。(明治四十四年生、女性):『大磯の民俗(二)』

大きな蛇:大きなのがいて、まあこのへんから、今の湘南平だな。鷹取山くらいから湘南平の方へ行ったり来たりしてんだとよ、なんてそういう話を聞いたことがありますけどね。(西久保、明治四十四年生まれ):『国府の民俗(一)』

高麗寺山の蛇:高麗寺山に大きな蛇がいたっていう話は聞かされたけどね。(新宿、明治三十八年生、男性):『国府の民俗(三)』

『大磯の民俗(二)』『国府の民俗(一)』
『国府の民俗(三)』(大磯町)より

追記

大磯の蛇の話というと、まずこの高麗(こま)山の大蛇の話になる。最初の見た人が亡くなった件はひと騒動だったようで、当時の新聞にも載ったそうな(「大蛇が出た!!」)。海亀を見間違えたという話だが、秋の野分が大蛇を思わせていたのだ、ともある。

この山に、かつて高麗権現と祀られ、話に高来神社とあるのが、高麗権現が神仏分離で改められたもの。今神社としてあるのは麓の下社で、かつては山頂に上社があったのだが、大蛇の跡があったというのはどちらだろうか。

また、この大蛇が、小磯の方に下るイメージもあったようで、小磯の白岩神社の大蛇は高麗山と行き来しているといわれた話もある(「白岩さんの蛇」)。これは場合によっては、国府祭の蛇の話と高麗山の大蛇の話を繋ぐかもしれないので、重要だ。