蛇塚

神奈川県高座郡寒川町


蛇塚はその昔、粟稗しか食えなかった大蔵の百姓たちが、葦原を開いて作った深んぼの田んぼである。その時に、何百匹という蛇を殺して埋めたので、そのたたりを恐れて供養の為につくった塚といわれている。蛇塚の真下辺はきれいな湧き水があり、イモリが泳ぎ、青蛙が木の枝に卵をうみ、マムシ・イタチの巣であった。

(「昔の菅谷地区と塚の配置」の略図あり)

『さむ川 その昔を語る 第五集』
(寒川町郷土研究会)より

追記

小出川右岸の大蔵と岡田の境あたりに蛇塚はあったらしいが(おそらく今はもうない)、このような蛇供養の塚であったという。しかし、大きな蛇がいたのでそういったという少し異なる話もある(「へーべー塚」)。

この塚周辺と特定できないが(塚の話と並んで記録はされている)、岡田の人の話で、小さな蛇と思いいたずらすると大蛇になったという、世間話の枠をこえている話もある(寒川町史調査報告書3『はなし・ことば・あそび・うた』)。

もっとも、現実的な話と怪異の両方が聞かれる蛇塚というのはよそにもある(「蛇塚の由来」)。そうなりやすいものなのだろうか。確かに、供養の伝承というものは、伝え続ける限り供養し続けないといけないということでもある。年忌の終了みたいなものがあるのかもしれない。