蛇のいびき

神奈川県秦野市


畑仕事をしていると、向こうの藪からいびきが聞こえる。ずいぶん大きないびきなので皆で見てみると、一升ビンぐらいの太さがある大蛇が丸まっていた。皆が騒ぐと動き出し、ミシミシと枯れ竹を折りながら這って行った。昔はそういうすごいいびきをかく大蛇がいたらしい。(山谷)

『秦野市史 別巻 民俗編』(秦野市)より要約

追記

世間話の大蛇目撃談では、このように大蛇が大いびきをかいて寝ていることがよくある。それを目撃しただけで床に伏したり、死んでしまったりするので、上の話はことなきを得た方ではある。

こうした、謎の大いびきは、ウシガエルが広まると、その鳴き声が正体だった、などとなるが、大蛇は少なくとも江戸時代には大いびきをかいているので(「信州高遠大蛇を斬害す」など)、ウシガエルありきというわけでもない。