実相寺の七面天女

神奈川県三浦市


日蓮宗の実相寺の開山は日胤上人である。徳川吉宗の母堂の祈願に霊験をあらわしたという七面天女が谷中の宗林寺にあったが、宗林寺の僧、日巡が波島と縁があり、天女を安置するにふさわしいと考え、その七面天女が波島に勧請された。

言い伝えによると、昔時化により波島に大蛇が流れ着いて、見た人が病気になるなどしていたが、七面天女勧請により病気や災難が除けられ、幸福になったという。縁日は毎月十九日で賑わった。波島が実相寺の寺領であったので、大正年間に七面天女も寺内に移された。

実相寺現地掲示より要約

追記

三浦半島は東京湾・浦賀水道に面した東側に海を渡る大蛇の話が連なっているが(「浅間さまのお通り」など)、西の相模湾側にはあまり見ない。その中にあって、この初声(はっせ)の実相寺の話は目立つものとなる。

ただし、現地にある上の話を見るのみなので、詳細は不明。吉宗の母〝順正院〟に霊験ありとあるが、吉宗の母は〝浄円院〟であり、よくわからない話ではある。七面天女ありきで蛇の話もある様にも見える。徳川家と七面天女の関係というと、葛飾松戸の方に水戸徳川家との話を見るが(「へびと光国・七面神社」など)、その辺りと関係するものか、どうか。