実相寺の七面天女

原文:神奈川県三浦市


本寺は歓喜山実相寺といい、日蓮宗で開山は日胤上人です。

寺内には七面天女が祀られております。徳川八代将軍吉宗公(一七一六〜一七四五年)の母堂順正院様の祈願に霊験をあらわしたということで、大切に祀られていましたが、後に藤枝若狭守に遣わされ、更に東京谷中の日蓮宗宗林寺に納められました。

この宗林寺の僧、日巡が宮田在住の猪熊安清と歌道の友として、じっ懇の間柄で、一日宮田湾の風光に接し、美しい波島に遊んだとき、この島に七面天女を安置することがふさわしいと考え、安清の許しを得て、正徳五年(一七一五年)三月九日、島に一宇を建て、勧請したと伝えられています。また言い伝えによりますと、昔、時化のとき、この波島に大蛇が流れつき、この大蛇を見た人は病気になったともいわれたが、天女勧請以来、病気や災難除けの為めに七面天女に祈願して幸福を得たと伝えられ、開運七面天女と尊称されております。七面様の縁日は毎月十九日で、近郷からのお参りで随分賑ったということです。波島がこの実相寺の寺領だったので、大正年間に寺内に移し祀られました。

(三浦市)

実相寺現地掲示より

追記