水を飲んだ大蛇

神奈川県藤沢市


あるとき、大蛇が川へ水を飲みに来たんですって。そうするとね、新家といううちのおじさんが油を売りに行った帰りにね、松の木だと思って、そこへ腰かけちゃったんですって。

そうしたら、ニョロニョロ走ったんですって。

びっくりしちゃって、病気になって死んでしまったんですって。(宮前 林うらさん 明治29年生・昭和47年10月)

『藤沢の民話 第一集』
(藤沢市教育文化研究所)より

追記

「龍が川の水を飲んでいた話」のうちの一話。他の話は龍が龍灯松に尾を巻いて水を飲んでいた、という筋が主となる話なのに対し、その亡くなった方の直系の家の話は上のように少し雰囲気が違っている。

おそらく、当事者の家が、亡くなった理由として語っていた話が、周りの人々によって土地の怪異として語られるうちに変質していった例だろう。そこにあった古館橋という橋が重要なのかもしれない(「ザアザア」)。