諏訪神社のお祭の日

神奈川県相模原市緑区


上野原諏訪神社のお祭は八月十九日。十七日はおいばなで、釜で湯をわかし笹で参詣人にかけ、無病息災を祈る。十七の晩は、親が亡くなった人は家にいてはいけない。空き家にしておかないといけないといった。

ある娘がそれを聞かずに機を織っていたところ、織機に蛇がからみついた。また、火じろのおかまさま(自在鉤)にもからみついた。諏訪神社のお使いは蛇だそうだ。今でも、生まれた年に行かない人は七年間行ってはいけないという。諏訪の神様は、十七日に上野原の神社へ、十九日には諏訪の本社へ帰られるということだ。

『藤野物語 老人大学調査集録』
(藤野町教育委員会社会教育係)より要約

追記

藤野地域でも最も西、上野原との境あたりの話だろう。非常に重要なことが語られていると思われる話だが、難解な話だ。「生まれた年に〜」以降の部分はほぼそのまま引いたが、細かな意味はわからない。

前半だが、時季がお盆頃であることからも、家に親の霊が帰るから家にいてはいけない、ということだと思われる。それで蛇が出たというのだから、その蛇が親の霊なのだろう。

お盆に帰ってくる霊を蛇とする話は霞ヶ浦周辺の盆綱を行う地域に顕著だが、それに限らず各地で家に出る蛇はご先祖の霊だ、などとはいう。上野原からは丹沢箱根を越えた駿東地域にそういう話がある(「蛇」)。

これがさらに、祖霊を蛇で示し、かつ諏訪神社が関係する話としては、比企の小川町のほうに参照すべき事例がある(「逆杉」)。ただ、そちらの蛇は鎮守の諏訪社の境内に出る。比べてみると、やはり「家にいてはいけない」という忌があったというのは重要だろう。