鷹取山の大蛇

神奈川県相模原市緑区


上小渕のSさんは鷹取山に鉄砲うちに行った。杉から杉へ夕陽に照らされてキラキラ光っているものがある。蛇のコケラが光っていたのだった。Sさんは全然口もきかず一週間もねこんでしまった。

『藤野物語 老人大学調査集録』
(藤野町教育委員会社会教育係)より

追記

コケラは鱗のこと。このような世間話は、そこは大蛇の棲む山なのだという感覚が生き続けていたことを語る貴重なものだ。おそらく近くと思われるところに、より伝説化した障る大蛇の話がある(「鹿と大蛇」)。

また、下ってきて藤野駅のあたりにも障る大蛇の話があるが、そちらでは大蛇の息を吹きかけられることが障りの原因と語られている(「ムジナ穴の大蛇」)。いずれにしても、相模川・桂川の北の山というのも、相当に蛇の印象のある山間だったようだ。