デイラボッチ

神奈川県横浜市鶴見区


東高校の正門近くに松林の丘に囲まれた一反歩の窪地の畑があった。この窪地を土地の人は、昔からからデイラボッチまたはデイダラボッチと呼んでいた。それは脚の長さが一里もあり、立つと雲につく大男の足跡だという。

もう片方の足跡はどこかわからない。デイダラボッチは富士山や箱根の二子山を造ったという大男で、海の水を汲んで流せば大洪水になり、暴れれば大地震が起こったそうな。裏山に登ると、このデイダラボッチがこしらえた富士や箱根が見える。

『鶴見の史跡と伝説』(鶴見歴史の会)より要約

追記

今はその東高校前というのも住宅が立ち並んでいるが、南に隣接した東寺尾の公園あたりに雰囲気が残っているのだろうか。箱根では山を造ったのはあまのじゃくというが(「あまのじゃくと二子山」)、その箱根が見える、と最後あるのは重要なところかもしれない。

また、巨人伝説は横浜市内では磯子のほうに見えるが(「磯子の巨人譚」)、一方東京に入って大森のほうでもよく語られ、この鶴見の話はその間の位置にくる、というところも興味深い。