蛇と御飯

群馬県藤岡市


蛇を焼くと、その精気のようなものからうんまいダシが出る。奥多野の娘が東京へ奉公に行って、うんまい飯を出すと主人に喜ばれたが、蛇を焼いてダシをとっていたのがばれて追い出されたという話がある(中里)。

蛇を入れて飯を炊くと、とてもうんまいって聞いた。ウナギでもアナゴでも同じにうまく炊けるかもしれない(中栗須)。

『多野・藤岡の蛇の話』
(土屋政江)より要約

追記

これは蛇の怪異の伝説というよりも、昔そういう料理法があった、というニュアンスが感じられるところが面白い。実際、大正の頃にはそうしたイメージから風説が生まれたりもした(「味の素に蛇を買ってもらう」)。

昔話としては、そういった料理を出していた娘の正体が蛇体であった、ないしそのような料理をしていたので蛇体となってしまった、といった運びになるだろうか(「仁池」など)。魚女房の話でも出汁を取っている女房自身が魚であるものである。