蛇堀川の蛇石 長野県小諸市 加増から石峠へ登る途中左側に巨石があり、上に小さな社がある。長さ三間・巾一間半、高さ五尺という石で、大きな縞が二本ある。昔、蛇堀川の付近に、大蛇が二匹いて、作物を荒したので百姓は非常に困った。そこで、武士に頼んで蛇を退治してもらったが、これが祟って作物ができなくなってしまった。 それから蛇石様といって祭ったのだという。二条の縞はこの大蛇のとぐろの跡だそうな。蛇石様には、子供の臍の緒をあげると、子供が虫を病まないといわれている。 『限定復刻版 佐久口碑伝説集 北佐久篇』(佐久教育会)より要約 おそらく近い所に(蛇堀川東岸とだけ)「笠石」というまた蛇の運んできたという石があるかあったかしたそうだが、このような蛇石もあるのだという。蛇石は現存し、小さな鳥居も設けられているようだ。 石に大きな縞が二条あり、そこに注目されている蛇石であるところを覚えておきたい。そのような縞を持つ蛇石はまた、佐久穂町馬越のほうにもあるという(「馬越の蛇石」)。縞の入った石を蛇石というのには、鉱脈筋の意があるのじゃないかという面があるが、この馬越の蛇石の下には金が埋まっていた、といわれる。 また、臍の緒の風俗につながって虫切りの験があるところも注目されるだろう。臍の緒を蛇石にあげるとなぜ虫が病まないのか、というのを説明するのは難だが、東信の蛇石の頭領である山田神社(「山田神社の蛇石さん」)は、虫切りの鎌を出していた。 ツイート