蛇石

原文

小諸市加増から石峠区へ登って行く途中の左側に巨石があって、その上には小さな社が建っている。石は長さ三間(約五、四メートル)・巾一間半(約二、七メートル)・高さ五尺(約一、五メートル)ばかり、周囲に大きな縞が二本ある。

むかし、この蛇堀川の付近に、大蛇が二匹いて、作物を荒したので百姓は非常に困った。そこである年村人は、武士に頼んでその蛇を退治してもらった。ところがその蛇がたたって作物ができなくなったので、それから蛇石様として祭ったという。二条の縞はこの大蛇のとぐろの跡だという。

蛇石様には子供の臍の緒を上げると、虫を病まないといわれている。(佐藤喜太郎73)

『限定復刻版 佐久口碑伝説集 北佐久篇』
(佐久教育会)より