馬越の蛇石

長野県南佐久郡佐久穂町

馬越の西に、長さ九尺・巾七尺・高さ四尺ほどの蛇石という石がある。石の裾のほうには巾一寸・長さ二尺五六寸ばかりの、鉄の蛇の通ったという跡がある。石の上には祠があり、村の人はシービーシさん(蛇石さん)と呼んでいる。

昔、ある家に病人があって、治らないので占うと、土地にこういう石があるから神に祭るよういわれた。そこで石宮を建て祭ったのが蛇石だという。明治の初めに神明社へ合祀されたが、一族に病人が続いたので、祟りと恐れて元の所へ返した。

昔から、この石を指さしたり踏んだりすると向こうの川(大石川)へ自分が流れるか、持物が流れるという。また、石の下には金が埋めてあったというが、いつの頃か海瀬村の人に掘り出されてしまい、こちらの人が夢で知って掘ったときにはもうなかったという。

『限定復刻版 佐久口碑伝説集 南佐久篇』
(佐久教育会)より要約

不詳。話の内容にも不思議なところが多い。「鉄の蛇の通った跡」というのが何をいうのか分からないが、ともかく、縞のある蛇石の下に金があった、という話ではある。