デイダラボッチの下駄糞

東京都あきる野市

昔、高台がまだ原っぱで、人々が川の畔に住んでいたころ、西から裸足に下駄をはき、背丈が杉檜よりも高いデイダラボッチという男が歩いてきた。ところが、原っぱの土が柔らかく、デイダラボッチの下駄の間に詰まるので、歩きにくいようだった。

デイダラボッチは雨間の西まで来ると、いよいよ下駄に土が詰まって、下駄の用をなさなくなったので、足をあげて下駄をはいた足を振って土を落とし、東のほうへ歩いて行ったそうな。

この時に落ちた土が「デイダラボッチの下駄糞」と呼ばれ、雨間の大塚がそうなのだという。

唐澤健一『秋川昔物語 秋川市ところどころ』
(秋川市教育委員会)より要約