蜘蛛が渕の蟒
静岡県三島市
昔、三浦某という男が、沢地川奥の蜘蛛が渕で釣りをしていた。その時、大きな蟒の影が水面に赤く映り、仰天した男は家に逃げ帰った。しかし、それが原因で男は寝込み、死んでしまったそうな。それより、この沢を「とりつき沢」と呼ぶ様になったという。
『三島の昔話』三島市郷土資料館
（三島市教育委員会）より要約
追記
この蜘蛛が渕は、その名の通りに糸を掛ける蜘蛛のヌシの話がまず語られる（「蜘蛛が淵」）。そこに、このように蟒・大蛇がいるのだという話があることにより、蜘蛛と蛇が同一の場所で語られた事例となっている。蟒の話も原題は「蜘蛛が渕」だが、判別しにくいのでこちらは「の蟒」を付け足した。
同話の解説によると、この滝淵には「さねの水」と称する陰石があるのだという。そうだとすると、ここは元来水源の聖地として人の侵入が禁じられた場所だったのだろうか。少し昔は里人が集う広場になっていたともいうが。