白山のがまと白蛇

原文:神奈川県愛甲郡清川村


白山の頂上に直径一二〇〜三〇糎の池がある。この池の水はいくら天気が続いても、日照でも、水がたえたことがない。昔、雨乞の時、天気続で田圃に必要な水がなくなると、この池の水を汲み出すと雨が降ると言うことから、ここに住む白蛇が水が欲しくなり雨を降らすと言う。この池に飯山のがまと、煤ヶ谷のがまと白蛇と共に仲良く住んでいたが、ある日、お国自慢から、お前の国とおらの国とどっちが大きいか? きれいか? 争いになってしまった。おらの国さ、おらの国さと云ううちに、とっくみあいのけんかになってしまった。そこへ白竜が出て来て、そんなら飯山のがまは煤ヶ谷を見る。煤ヶ谷のがまは飯山を見る。お互いに見っこをすれば、良いではないかと仲裁に入った。そこで、二匹のがまはお互いの国を見ることにした。のび上がって見たが、まあなんだ、おらの国も同じじゃないか。煤ヶ谷のがまもおらの国と同じだと言って仲直りをしたと言う。がまの目玉は飛出しているから、のび上がって見たから、自分の国を見てしまったのである。

『清川の伝承』(清川村教育委員会)より

追記