へーべー塚

原文:神奈川県高座郡寒川町


文字など書いたり読んだりしなかったおで人の口から口へへーべー塚へーべー塚と言い伝えられてきました。へーべーでなくて蛇塚だよと言われ始めたのは、こんな事があってからです。へーべー塚は、今のごみ捨て場の真上にありました。ごみ捨て場の辺りは一丈の芦が一面に生い茂っておりました。その頃の百姓は、肥料にする為朝草刈りに行くのがならわしでした。〓〓(不明瞭・地名か)の源さんがある朝草刈りに行った所、一丈もある芦の上から、人間の足くらい太い蛇が「ニューッ」と首をもちあげたそうです。さあ、源さんはあわてたのなんの、鎌もかごも、ほっぽり出して、家に逃げ帰ったそうです。可哀そうに、源さんはそれから三日間、あまりの恐ろしさに寝こんでしまったそうです。

さて、そのへーべー塚ですが、ほりおこすと、シジミや巻貝や黒曜石が出て来ますので、恐らく菅谷の原に住んでいた先住民の貝塚あとではないでしょうか。対岸の小出地区には貝塚があるのに、寒川の方にないのは、入江がないので潮の干満がなかったのではないでしょうか。

越の山の方は断崖絶壁で、いつも水があった為、貝の生息に不向きだったようです。

(※ 略地図あり。へーべー塚は小出川の右岸、越の山の北北東)

『さむ川 その昔を語る 第一集』
(寒川町郷土研究会)より

追記