桜山大山とウナギ淵の伝説

原文:神奈川県三浦郡葉山町


葉山町を見下ろすように「桜山大山」があります。人もめったに入らないために、200ヘクタールが深い森林におおわれています。

葉山の長柄(ながえ)村から譲られた山とも言われていますが、300年以上前から桜山村の山となっていました。

ここにウナギ淵の伝説があります。昔々、長柄村の婆さまが毎日、山に入って川魚をとったりしていました。ある日、森戸川の奥の滝の所に出て弁当を食べていると、大きなウナギが出てきて、にぎりめしを食べたさに追いかけてくるのです。婆さまは力ませに切りつけました。大ウナギはそのまま動かなくなり、婆さまは少しずつ切りさいて、8日目に頭だけを残して山を下りようとすると、「婆さん、もう一つ残ってるよ。」とワレ鐘のような大声がきこえてびっくり、一目散に逃げ帰って寝込んでしまいました。そのウナギ淵も今はありません。

※「今は無きうなぎ淵の流れ(一九七四)」の写真がある。

『逗子子ども風土記』
(逗子市教育委員会)より

追記