焼け死んだ大蛇の話
神奈川県伊勢原市
この先にね、山の神さんがまつってあって、大明神って言ったね、そこに昔、大きな松の木があってね、その松の木に大蛇が住んでいたって。ところが大蛇が別に悪さもしなかったろうか、ある時、天日によって、その松が、三日三晩燃え続けて、そのうろに入ってた大蛇が焼け死んだという話を、よく爺さんがしてたね、今の一ノ郷北あたりだね。
『伊勢原の民俗 高部屋地区』
伊勢原市史編集委員会(伊勢原市)より
追記
原題は単に「大蛇の話」だが、他の話と見分けがつかなくなるので少し付け加えた。一之郷は上粕屋になるが、北側には白山神社と神奈山神社が見える。話の山の神さんにあたるのかは不明。
子易の大山参道のほうにも同じような話が明和のころのこととして語られており、そちらでは大蛇は大山石尊権現の飛ばした火の玉で焼け死んでいた(「大蛇ノ燒死シタル事」)。その話が広く語られた故のこちらの話ではないかと思う。