蛇婆さん
神奈川県伊勢原市
僕ら子供時分に、蛇を殺したのが祟ったっていうんでね、穴へ蛇が入いるっていうんでね、鼻の穴だの耳なんかへね、栓をして、なんかつめていたというような人の話を聞いたことがあったね、お婆さんでね、蛇婆さんていってたね。
『伊勢原の民俗 大山地区』
伊勢原市史編集委員会(伊勢原市)より
追記
今なら妄想性障害というところだろうが、このような蛇が憑き物として現実の行動を規制することもあった(「蛇に憑かれる」)。この気の毒なお婆さんにとっては、その蛇は実体のあるものと変わらなかっただろう。
そういった話は、特に世間話として往々に見られる。われわれが架空の蛇だと思うものも、必ずしもそうとばかりいえない。例えば大蛇を見て死んだ、という枚挙にいとまなくある話なども、死が近づくとそういうものが見えてしまう、と考えると、どうか。