米を食べる蛇

神奈川県秦野市


蛇の匂いがしても入らない。それで、蛇はもういい気分になって幾らでも米を食うんですね。確かに。それですから、青大将という蛇がいますね、あれが普通やるんですが、普通の虫や何かを食ってる青大将は黒いような色をしてるんですね。それで、蔵や何かに入ってお米や穀類を食ってるのはもう青くなっちゃってる。(鶴巻)

『秦野市史 別巻 民俗編』(秦野市)より

追記

秦野でも各地でそうであるように、屋敷を守る蛇は尾が短いなどいうのだが、上のような話も聞かれる。これもあちこちで暗示される話なのだが「米を食うから青い」というはっきりしたイメージが語られる例としては貴重だ(一方、屋敷の屋根裏に住むことが強調され、逆に煤で黒くなっているのが屋敷蛇なのだという土地もあるが)。

ともあれ、ここでは「米を食っている」ところを強調して見ておきたい。これは、屋敷蛇の類と蛇息子の話の通じるところのひとつであり、蛇息子はまま米を与えられることにより、尋常でない大きさに育っていく(「蛇の恩返し」など)。両者の関係を考えるときには、ここは重要となるところだ。