お諏訪さんと尾尻

神奈川県秦野市


昔から、今泉神社はおすわさんといわれている。古老の話では、諏訪湖の大蛇が空を飛んできて(今泉のきれいな水が飲みたくて来たのだとも)、今泉神社のところに頭つき、尾がついたところが尾尻なのだという。

『秦野むかしがたり』
(秦野市老人クラブ連合会)より要約

追記

秦野には、昔諏訪の人たちが移り住んできたという話が多く、こうした諏訪神社や、小さな社宮司さんなどが、そのとき持ち込まれたと語られる。現代においても、秦野市民は姉妹都市提携の相手に諏訪市を選んだが、そういう意識が反映しているのだろう。そのようなことで、こうして諏訪湖の大蛇が飛んできた、という話にもなるのだが、そこはさておく。

話の尾尻という地区は一キロ以上も離れているので、大した大蛇である。ここでは、周辺地域ではあまり語られない、そういったサイズの大蛇を語るのが秦野だ、という一例として引いた(「千間台のいわれ」など)諏訪の話と併せ考えると、人の移動を蛇になぞらえる土地にはそういう傾向があるのか、とも思える。