蛇の五色

神奈川県秦野市


蛇の五色(蛇がとぐろを巻いて五色に輝いている)を見たら、急いでその人はザルでもふろしきでも何でも持って行ってかぶせると、その人はどこまでも運がよくなるという言い伝えがあるですよ。

そいで、そういうのを見たんで、どうなってるのかと思ってほごしてみたら、二匹の蛇が最後のところで交尾してたですよ。わたしはほごしちゃったから、運なんかないね。(今泉)

『秦野市史 別巻 民俗編』(秦野市)より

追記

蛇が交尾の時期に玉のように群がったさまを「蛇こしき」などという。蛇の持つ宝珠が五色の珠だという話はままあるが、それが「こしき」からの転、ないし結びついたものということがよくわかる話だ。

いずれにしてもそれを手にすれば幸運を得る、というのはどこも同じ(「へーびこしき」など)。「こしき」は容器の甑(こしき)にちなんでそういうとされることが多いが、車輪の軸を受ける轂(こしき)のことではないかという線もある。