見龍山無量壽院光念寺

神奈川県三浦市


伝云、昔和田義盛衣笠城ヲ落、久里浜ヨリ舟ニ乗リ、房總ニ去ントス、時ニ糧盡ケレバ龍神ニ祈リシニ、忽チ筌ト云モノ來ル、乃是ヲ用テ魚ヲ獲テ食ヒ、餓ザル事ヲ得タリ、後筌龍ニ化シ去ル、一夜義盛霊夢ニ感ジ、筌ノ御堂ヲ建立ス、故ニ今俗ニ上ノ御堂ト云フ、歴世久シキコトナレバ詳悉ニハ知ルコトヲ得難シ

『三崎郷土史考』内海延吉
(三崎郷土史考刊行後援会)より

追記

以上が「三崎志」(宝暦六)にあり、話の堂が光念寺となったのだという。これを基にした再話の伝説では、流れてきた筌の中に魚が入っていたり、後の夢の中で筌が竜と化したりと少々細部が変わり、「筌竜弁財天」の由緒となっている。

上に見るように、話は光念寺の縁起なのだが、今は筌竜弁財天は海南神社境内に祀られているようで、関係がよくわからない。内海はこの話がもとは海南神社の地にあった海潮寺のものだったのじゃないかと述べているが、そういう縁もあるのかもしれない。

ともあれ、これも三崎総鎮守の「海南神社」の藤原資盈の伝説とまた違う筋の当地の竜神信仰の一端ではある。また、同海域では弁天といったら江の島なのだが、そうはいっていないところも注意したい。