星見の池

神奈川県三浦市


小山と神社との間に星見の池という池がある。神が魚を惜しんだという伝説があり実の名は「惜しみの池」らしい。大正十二年の震災前には海から水が入ったり出たりしていて鱸の群を見た程だったが、今日は殆ど水が出入しない。この近所ではここで魚をとって食べると、神の祟りで必ず病気になるといわれてきた。今は水が出入しない故に水はくさってしまっている。

『海辺の暮らし 松輪民俗誌』
(三浦市教育委員会)より

追記

小山には沖を行く船を襲う大蛇がいたといい、かつての星見の池を挟んだ灯台下に神社(祠)がある(「劔崎神社」)。池は底なしであったともいわれるが、関東大震災で隆起し今は陸の岩場である。

三崎・城ヶ島にも主祭神の上陸された「御座の磯海のとこぶしは明神様の「ほしみ」だから、食べてはいけないとて、とらなかったという子供の俗信もあった。(ほしみの意不明)」(内海延吉『三崎郷土史考』)とあり、同様するものと思われる。

同地域では磯にある深みを池というが、両者を見るに、海より来て富をもたらす神霊の池ということであるらしい。これらを鑑みることは、小山の大蛇というものの性質を考える上で重要となるだろう。