国府祭

原文:神奈川県茅ヶ崎市


大昔の話。天皇がある娘にあまりうるさかったから、娘の親が娘に化けてご殿の中に入り込んで、天皇の奥さんになったって。女の親が蛇体なんだな。

それで妊娠しちゃった。お産をするところを誰にも見られたくないって、お産をするところを早くこしらえろっていって、丸太を立てて屋根をふいたところが、今少しってところで産気づいた。しょうがないからウの木をひっきょってきて、ウの枝とカヤとで回りをかこって産んだ。

どんなのを産んだかって、天皇がのぞいてみたら、蛇の子が六つ。蛇が乳を飲ませていた。びっくりして天皇は死んじまった。それがウとカヤでふいた小屋だったからその蛇のことをウガヤフキアエズノミコトという名をつけて殺していけてしまった。それが東海道のふちにあるなんとかいう官幣大社だよ。

そんで、子の蛇はてんでんばらばらに逃げちゃった。魔物みたいなもので、おっかなくておかれねえから、皆で退治して祭った。体の大きい順に一之宮・二之宮・三之宮・四之宮・五之宮・六之宮がそれで、寒川神社が一番おあねえさんとしてある。ただものの蛇じゃないって殺しちまって、よく調べたらその六人の兄弟だったって。

神揃山(かみそり山・大磯町)に兄弟が年に一度勢ぞろいして、おっかさんのところへ、お盆講だか、お中元だかのおまいりに行くことになっている。山が急だから神輿にロップをつけて引きずり上げるんだね。

(以下・神輿の喧嘩と浜降祭の由来・略)

『茅ヶ崎の伝説』
郷土史研究グループ「あしかび」
(茅ヶ崎市教育委員会)より

追記