しょうぶ湯

原文:神奈川県茅ヶ崎市


五月四日の宵節供と五日と、二回しょうぶを入れた湯に入る。なんでやったかってえと、

あるところで、女中を置いた。その女中がとてもいい女で、蛇がその女中に目をくれて、女中が仕事に行くと男になってあらわれて、近寄ってくる。そして毎晩のように通うんだって。

蛇の仲間が、
「今夜はどうだったよ。」
と聞いたら、
「そうよ、まあ、どうやらたねはおろしてきたけんどあれでしょうぶ湯にへえらりゃだめだ。」
へえいったら、仲間が、
「そうか。」
といったんだって。

それで、だれかれするとなく、しょうぶ湯のことが始まって、蛇が入らないようにとやった。

(下寺尾 川島ツルさん 明治35年生 昭和53年3月)

『茅ヶ崎の伝説』
郷土史研究グループ「あしかび」
(茅ヶ崎市教育委員会)より

追記