ザアザア

原文:神奈川県藤沢市


柏尾川は、大正末期からの大改修で、川巾がむかしの三倍くらいにもなったのです。古館橋は、この改修で、むかしより百メートルの上流に移りました。

今、古館の森といっている左岸の杉の木立の下の方は、岩が出ていて、落差が一メートル以上もあって、それで、いつも、川の水の音がザアザアといって流れてて、遠くまで聞えるくらいだったのです。

それで、ここのところを、ザアザアとよぶわけで。

龍灯松に龍が尾を巻きつけて、川の水を飲んでいたというのが、このザアザアという場所でした。(宮前 広田三郎氏 明治40年生・昭和47年4月)

参考:龍灯山

古館橋のそば、山を削りとったところ、あそこに龍灯山というのがあったのですよ。柏尾川の方へ突き出た山を、龍灯山といったのですが。

いい伝えによりますとね、そこに龍灯松という松があってその松へ夜になると龍があかりをつけた。それでまあ、龍灯山というのだと、こういうような話でね。(宮前 広田忠蔵氏 明治19年生・昭和47年9月)

『藤沢の民話 第一集』
(藤沢市教育文化研究所)より

追記