デーラボッチ
原文:神奈川県藤沢市
この辺ではね、ちょっと高いところはね、デーラボッチが土をかついで、おんまけたところだってね、よく言ってますよ。ここがそうだ、ということもないんですけどね、高いところをみんなね、ここはデーラボッチが土をまけたってね。
子どものころに、この辺の人が言うのをよく聞きましたし、おばあさんも時どき話してくれました。
(石川 広瀬祐安氏 明治35年生 昭和50年4月)
昔の人は、よく言いましたよ。デーラボッチってね。
富士山へ腰掛けた、なんて言いましたよ。
デーラボッチがかついできてね、土をかついできて、富士山へ腰掛けてね、富士で一服やって、それで立とうと思ったら、土を入れたもっこの紐が切れちゃったって。それで、
「えい、おんまけてしまえ」
って、そこへ土をおんまけてしまったら、できたのが箱根の二子山だなんてね。
そんなような話をね、子どものときに、隣のおじいさんがよくきかしてくれてね。
(獺郷 三上嘉久次氏 明治37年生 昭和50年5月)
『藤沢の民話 第三集』
(藤沢市教育文化研究所)より