大鐘まつり

原文:神奈川県鎌倉市


山ノ内円覚寺の大鐘を祭る大鐘まつりは、六十一年め毎に盛大な祭が行われる。この祭は出合い祭で江の島の弁天様がくるといわれ、円覚寺の弁天様は男で江の島は女という。祭の日には鎌倉街道一ぱいに市が立ち、屋台が出て賑やかであった。大鐘をひくときは赤と白の三角帽子をかぶり、世話役は鐘という紋の入ったトーザンの紫や青の羽織を着てきらびやかなものであった。六十一年めごとにくる大鐘まつりに二回出会う人はいない。

八雲神社や大鐘まつりを大ヒマチといい、その他のヒマチを小ヒマチという。古老はもう一度昔みたいな賑やかな祭に出会いたいものだという。

『鎌倉の民俗』大藤ゆき
(かまくら春秋社)より

追記