犬頭神社

原文:神奈川県平塚市


徳川さんの話はね、この奥に狩りに行ったの。そのゴロノ宮、あの通りを通ってね、狩りに。だから今の平塚のむこうに、中原というところがありますけど、そこに磯部というのと、笹尾という二軒の家の先祖がね、鷹匠でしたよ。だから今でもお墓ができてますよ。その時にね、徳川さんの家来ですね、家来が休んでいたら、上から大きな大蛇っていうのかな、下がってきて、休んでる人を食べようとしたっていうか、食おうとしたっていうか。と、その人犬を連れてたから、その侍が。そんと、犬が、蛇が下がってきたんで、主人を助けようとして飛びついた。侍は、上に蛇がいるって知らないから、自分に飛びついてきたと思って、斬っちゃったわけ、犬を。それで見たら上に蛇がいた。俺を助けんとしてやってくれたのを、犬の首斬っちゃったって、かわいそうなことをしたって、犬頭神社ってのがあるんですよ。私のためにね、助けようとして、飛びついてきた犬を、首を斬ってしまった、とんだ惜しいことをしてしまった。申し訳ないから、俺は生涯この犬をね神社として祀っていくといってね、犬頭神社ってのが豊田にあります。(中里)

平塚市史民俗調査報告書7『平塚(旧市域)』
(平塚市博物館)より

追記