大沼

原文:神奈川県相模原市南区


古渕、鵜の森を除く中地区の大部分が、大沼と呼ばれていたが、大沼池は、大沼神社の近くにあった。大沼池は、2万1015坪あったが、昭和39年、宅地造成のために埋め立てられ、今は、水田組合が往時を偲ぶためにつくった記念碑を残すだけである。

日本武尊が、東征の際、賊に火攻めにされ、草薙ぎの剣で、危うく難を逃れたのは、この付近だという伝説がある。

また別の伝説によると、昔、大沼池は、忽然として、青天下に龍巻を生ぜしむる奇異現象が、しばしば起った。ところが、暦応元年戊寅年(1338年)渕辺伊賀守義博が、大蛇を退治し、池は平穏になり、その龍骨を龍頭、龍像、龍尾に分骨して、三寺を建立したと伝えられている。そのうち龍像寺だけが、渕野辺に現存している。龍像寺には、寺宝として、その龍骨及び鏃と伝えられるものが、丁重に保存されている。

『おおのなかの歴史と伝承』
相模原市青少年指導員大野中地区協議会
(相模原市大野中公民館)より

追記