デーラサマの山造り
神奈川県相模原市緑区
城山町の尻無沢には、デイラボッチが城山を作ったとする言い伝えがあった。
むかしむかし、デーラサマという大男が、富士山を藤づるでしばり、コラショと引っぱったら、富士の頭がちょんぎれて、とんできて落ちてできたのが城山だそうな。以前、中沢の方から見ると、中腹に帯のように木のないところが見えたが、それが藤づるでしばった痕だということであった。
(安西愈「城山町怪異談(二)」『ひでばち』九号)
『相模原市史 民俗編』
(相模原市総務局総務課市史編さん室)より
追記
相模野の方の巨人の話は、その足跡だといい、もっぱらに凹地の話となるが(「でいらぼっち伝説」など)、山間の津久井に来るとこのように山の話になる。
面白いのは樹木の生えていなかった一部の山肌を、藤づるをかけていた跡だなどといっているところだろうか。そういう部分は大蛇の這った跡などにもなるところだ。
また、さらに西奥山深くに入って石老山のほうには、ここらの巨人伝説に欠けている、山の背比べを語るものもあり、併せ見ておきたい(「大山森」)。